大学病院の内視鏡室ってどんなところ?
大学病院で通算すると5年くらい働いていました。
というのも、ずっと内視鏡室だけを勤務していればよいというわけではないです。
検査部門所属の看護師として働いていたので、例えばCT・MRI、アンギオ室など8箇所くらいある検査室をローテーションしながら勤務するという仕組み。
それでも、全員がローテーションしていると、1つの部門を周知している人がいなくなってしまうので、ある程度は固定メンバーで勤務するという形になってしまうのが現状でした。
その中で私は内視鏡室に勤務する時間が長くなりました。
内視鏡室では、上下部内視鏡の他、気管支鏡・子宮鏡・EUS(超音波内視鏡)も行われており、色々な経験ができました。
勿論、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)やEVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)バルーン拡張術、PEG(胃ろう増設術)などあらゆる治療も内視鏡室で行われいて、どれに関しても看護師が関わることができます。
患者も高齢者が多く、中には90歳台の内視鏡なんかもありました。
外来でいらっしゃる方もいれば、入院中でストレッチャー移動の場合もあります。
お昼休み以外は座れず立ちっぱなしですし、検査が重なり看護師が不足すると医師のみで行う治療も実際にはありました。
一方で、検査室特有の忙しい日とそうでもない日があるという部分で、病棟勤務をされている方に比べると息抜きをしながら勤務できたという気持ちもしています。
大学病院の内視鏡室は、病気あって当たり前の状況で検査を受けにきたり、手術後の検査であったり、人間ドックや健診とは、全く異なる空気があります。
だからこそ、学べるところは多く色々な場面に対応できる力がついたと思っています。
更には、内視鏡の新しい機器や技術・勉強会に触れる機会も多く、内視鏡が好きな人にとっては遣り甲斐のある職場です。
また、内視鏡検査技師の資格をとることもできます。
残念ながら、私は、小さい子どもを保育園に預けながらの勤務でしたので、そこまで至らなかったのですが、今後再就職したらとりたいなという目標となりました。
なんで大学病院の内視鏡室を退職してしまったか?
大学病院の内視鏡室、本当に充実しています。
私にとっては、仕事としてとても魅力的でしたし快適でした。
では、何故退職してしまったのか・・・。
「子供が小学生になるため、低学年の間は学校から帰ってきて子どもの様子をみたいから」
「小学校に入ると色々な行事が平日にあったりするとお休み希望を出す機会がこれまで以上に増加し、迷惑をかけるから」
ということにして退職しました。
赤ちゃんのときから保育園に預けて、オムツも勝手にはずれていたり、もっと一緒にいてあげたほうが良かった時期は、今ではなかったんじゃないの?
と厳しい言葉をかけられたこともありました。
共働きをするということは、看護師としてのキャリアを積むということは保育園のお世話になって働き続けることと思い聞かせてきました。
自分のために。でも、小学生になる日が近づくにつれて不安になったんです。
小学生は保育園児とは違って、自分で考え、学習が始まります。
社会と一人で向き合っていく第一歩のときに見えないということに大変な不安を覚えてしまいました。
環境がかわり、学習がはじまる最初は一緒に過ごしたいという気持ちが優先順位を変えてしまったのです。
そして、もうひとつ。
内視鏡に関わっていたいと思った場合、退職までずっと内視鏡をしたいですというのが通らないという現実があるということも気にかかっていました。
子どもが小学校3年生を終わると、途端に夜勤のある病棟へのローテーションの声がかかりはじめます。
これから先、内視鏡介助をしていきたいと思っていた私にとっては、この退職はこれから先の仕事をする上でよい転機になったと考えています。
実際に退職して始まった生活とは?
退職すると知った周りは、「きっとじっとしてられなくなるよ」と言われていた私。
「今まであれだけ身体を動かしていたのに、急に何もなくなったら逆にストレスになるのでは?」
「子どもが学校行っている間は何もないよ。家事好きなの?」みたいな集中攻撃(笑)
家事嫌いです。
でも、意外と「時間がある」ことは好き。勿論働くとなると、動いているほう好きなタイプなので、同僚にはありがたいことにそう見えたのかもしれません。
でも実際は、ぐーたらも得意なのです。
実際に退職して、何が一番ストレスになったかが分かりました。
「お給料がない」ことです!!
毎月支払わなければならないお金が見えていなかったことが、すごく多いんです。
通帳は減っていく一方の生活を送り始めると、急に不安が増大しました。
まず、始めたのはライターのお仕事でした。
自宅でできて、これまでの経験を活かしながら転職についても学べる一石二鳥のお仕事とめぐり合うことができました。
先方の人手不足の状況と、私自身の学校行事などとの兼ね合いで、必ず仕事が入るというものではないので決して安定はしていませんが、少しでもお給料が入る生活をしていることで今は充実した生活を送ることができています。
健診専門のクリニックの内視鏡室・内視鏡センターってどんなところ?
会社の健診や人間ドックで内視鏡検査を必要とする世代は、若いです!!30代~60代。
また、鎮静剤を使用して、より楽な検査を心がけているところもあります。
私は、現在2箇所をかけもちして午前のみ勤務させていただいています。
AセンターとBセンターとします。
Aセンターは、午前中の患者数は40~50名。5部屋使用し、経鼻内視鏡を鎮静剤なして行っています。
前処置担当看護師は5名。
内視鏡介助5名。
大体10名程度で勤務している状況。
その中で派遣で入っているのは1~2名です。
内視鏡介助経験のある派遣スタッフは、介助として部屋につきます。
内視鏡の経験のないスタッフは前処置で入っているようです。
私は、介助で入っているので、仕事が始まってしまえば、その部屋担当の医師と自分、そして患者との関わりのみとなります。
カルテの流れや書類の流れについて教えてもらえば、介助はこれまで通り自分の方法で好きに部屋を使っていいのです。
ものの場所を覚えたり、細かいあれこれについて覚えるのはやはり大変ではありますが(失敗もします)
内視鏡介助という部分では、自信をもって行えるというところで、遣り甲斐があります。
Bセンターは、午前中の患者数は15~17名。
こちらは上部内視鏡が終了すると続けて1~2名下部内視鏡も行われています。
経口内視鏡を鎮静剤を使用して行っているところ。
看護師は4~5名体制で、2つの部屋で行われます。
1つの部屋に2名の看護師がつきます。1人は説明やルート確保・鎮静剤の静注担当。
そして、派遣は検査介助をメインとし、リカバリールームの対応というような明確な役割分担がされています。
上部内視鏡が終わってしまえば、下部内視鏡についても関わることができます。
AセンターとBセンターの共通点と相違点がみえてきました。
1.患者の年齢層(30代~60代)
2.内視鏡介助の方法
3.接遇への考慮
1.鎮静剤の使用の有無
2.常勤と派遣の仕事の役割分担方法
3.使用する内視鏡機器
4.前処置や検査後の注意点の内容
5.午前中だけの勤務だとAセンターでは上部内視鏡しか関われないが、Bセンターでは下部内視鏡にも関われる。
健診専門のクリニックによってAセンターとBセンターではだいぶ違うように感じています。
派遣として働いている限り、全くこれらの相違で悩む必要もなく与えられた仕事を時間内でこなすことですので、不満はありません。
でも、もしも就職をするとしたら?と考えると、AセンターにもBセンターにも良いところと悪いところがあるように見えてしまうのです。
色々な現場を見る必要があり、実際に働くからこそ見えるところだと実感しています。
しばらくは、この「派遣」を利用して、より多くの施設をみたいなというのが私の目標となっています。
大学病院と健診センターの内視鏡室の違い
大学病院で行われている内視鏡と健診センターで行われている検査の違いは、ずばり「治療ができるかどうか」というところでしょう。
異常がみつかると紹介されて大きな病院で治療というのが健診センターの役割です。
大学病院は、そういった健診センターから紹介を受けて治療をしたり、入院患者の異常を発見し治療までできるという場所です。
内視鏡介助をしていると、色々な手技も可能になってきます。
内視鏡室で働きたいと思っている看護師さんへ
内視鏡と一言で言っても、色々なんです。
だから、内視鏡を使ったどんな検査や治療の介助をしたいのか、まずは明確にする必要があると思っています。
内視鏡検査技師の資格をとれば、OPE室での治療やERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)にも関われるかもしれません。
内視鏡で分かること・できることは多く、最近では内視鏡に力を入れているクリニックというのも目にします。
昔よりも楽になったとはいえ、内視鏡検査は、とても辛い検査の1つでもあります。
患者さんが、より楽に安全に検査を受けられる環境を整えられるのも看護師の役割です。
検査に関わる看護師は、病棟看護師とは違った遣り甲斐や充実感を得られます。
あとは、何でも好きか嫌いかの問題ですものね。