血糖自己測定・インスリン自己注射の正しい行い方
糖尿病では、継続的に血糖を測定することで血糖値を良好にコントロールし、合併症の予防につなげられます。
また、高血糖・低血糖を防ぐため主治医より指示されたインスリンの単位を確実に施注することが大事です。
合併症予防のため正しい手技を獲得してもらい継続的に行っていくことが必要です。
患者さん自身のコンプライアンスが悪い場合はキーパーソンを含めた指導を行います。
1.血糖自己測定
ポイント!
1)アルコール綿の消毒後はよく乾燥させる。濡れていると消毒液が一緒に吸収され正確な測定値が出ない。
2)血液は無理に絞り出すと、細胞内液が混じり、正確な数値が出ないため、血液がうまく出ない時は再度穿刺する。
必要物品
※今回はメディセーフミニを使用すると仮定
病院によって扱っている物品が違うため、指導方法は病棟にパンフレントがないか確認する。
・血糖測定器
・測定用チップ
・ 穿刺具
・ 穿刺針
・アルコール綿
・ 針入れ
自宅では空き瓶などを利用し外来受診時に持参してもらう。
家庭ゴミに出さないよう伝える。
使用済みの血液が付着したアルコール綿は、自治体の様式に従って処分する。
手順
1) 必要物品を準備する。
2) 電源を入れ保護キャップを外す。メディセーフミニでは「ピー」と音がなる。
3) 測定チップをカチッとなるまでしっかり先端に取り付ける。メディセーフミニでは測定用のグレイのチップが外れ青いチップだけが残る。
4) 「OK」の表示を確認する。メディセーフミニでは2分で自然に電源が落ちる。
5) 穿刺具に穿刺針を奥までしっかりセットする。
6) 穿刺部位を消毒する。患者が行う場合は指の側面が穿刺しやすい。
7) 穿刺部をマーッサージする。冬で抹消が冷えている場合はお湯で温めても良い。
8) 穿刺具を指に当てプッシュボタンを押す。
9) 穿刺後、指先を軽く押して血液を出す。穿刺の深さは患者さんの皮膚の厚さや穿刺器具によって異なるため何度かおこなってもらい調整する。
10) 血糖測定器の測定用チップの先端を、血液に軽く押し当て測定する。「ピー」と音がなったら測定値を確認する。メディセーフミニでは10秒で結果が出る。
11) 穿刺部位をアルコール綿で押さえる。
12) グレイのチップケースをかぶせ、測定用チップを外す。
13) 血糖測定器に保護キャップをかぶせる。
14) 穿刺具の針にキャップをかぶせて外す。
2.自己インスリン注射
ポイント!
1) 白濁しているタイプのインスリン製剤は、手掌に挟んで転がす、上下に振るなどして内容を均一化させてから投与する。
2) 外見に異常があったり、品質が変化したりしている場合は、破棄して新しい製剤を使用する。
※開封後の使用期限は1ヶ月が目安。
使用中は室温で保管。未使用のものは冷蔵庫で保管。
冷蔵庫での保管は直接風に当たらないようドアポケットでの保管が望ましい。
一度凍結したものは使用しない。
3) ペン型注射器の針は根元までしっかり刺入し、インスリン注射後、6秒程度刺入したまま保持することが大切。
必要物品
・ペン型インスリン製剤(ここではノボリンR注フレックスペン)
・専用注射針(ここではペンニードル)
・ アルコール綿
手順
1) 患者さんは手を洗う。
2) 白濁タイプのインスリンは残量が12単位以上あることを確認する。
(12単位以上ないとインスリンを撹拌出来ず、中身が均一化出来ないため)
3) 白濁タイプのインスリン製剤は、注射器10回以上振る(もしくは手のひらに挟んで持ち水平に転がす)。透明タイプは不要。
4) ゴム栓をアルコール綿で消毒する。
5) 専用注射針をまっすぐゴム栓に刺し、時計周りにまわし、取り付ける。
6) 空打ちを行う。ダイヤル「2」に合わせる。
7) 針先を上に向け、空気を集める。
8) 上に向けたまま注入ボタンを押し、インスリンが出ることを確認する。空打ちはカートリッジ内の空気を出し正しいインスリン量を注射するため毎回行う。
9) 空打ち後ダイヤル「0」になっていることを確かめ、処方された単位をセットする。
10) 注射部位を消毒する。
自己注射の指導の場合は皮下脂肪のある下腹部に注射することが多い。
この他に打てる場所としては上腕の外側大腿部などがある。注射部位は同じ部位に行わず下腹部、上腕などの場合左右変えて行う。
11) 皮下脂肪をつまみ、ペン型注入器を90度の角度で根元まで刺入する。
右利きの場合は左手で皮下脂肪をつまみ、右手でしっかりと注射器を握ってもらう。単位数を示すダイヤル表示が自分に見えるように注射する。
着衣を洗濯ばさみで止めると邪魔にならず注射しにくい。患者が怖がっている場合は「1・2・3」など声かけをし、穿刺を手伝う。
12) 注入ボタンが「0」の表示になるまで押す。
13) 注入ボタンを押したら、6秒以上待って針を抜く。
※すぐに抜くと、インスリンが完全に投与できない。
14) 使用したペン型注射器を片付ける。
注射器の先端に針ケースをまっすぐにかぶせる。
針ごと時計と反対側に回す。
まっすぐ上に引っ張り、針ケースと針を外す。
15)注射部位は、揉まずにアルコール綿で押さえる。
※もむとインスリン吸収が早まり、作用時間が変動してしまうため。