訪問入浴は看護師バイトのお仕事として注目されていますが、その具体的な内容はご存じですか?

この記事では、その勤務形態や作業手順などを詳しくご紹介していきます。

看護師の訪問入浴のバイト
「勤務形態」    

看護師が訪問入浴のバイトとして勤務をする場合、単発のスポットで働く場合と、シフトを組んで働く場合があります。

単発スポットの場合は、雇用主の募集している日程と自分の働きたい日程が重なり雇用の連絡が入れば、勤務できます。

シフト制では、雇用主と直接契約を結び、自分の勤務希望日を雇用主に提出後、雇用主がシフト調整を行い勤務日が決まります。

「給与のタイプ」  

訪問入浴の看護師バイトの場合は、時給制になっています。

ですので、1日に訪問する件数では給料は変動しません。

直接雇用主と契約を結ぶバイトの時給が1400円〜1600円、単発スポットは1600円〜2000円となっています。

勤務時間は、8時30分から17時までで、休憩時間は45分としている職場が多いため、日給では12000円から15000円程度となっています。

訪問入浴の場合、日・祝手当といった手当はつきません。

「ナースの役割」

訪問入浴で行うナースの役割は、入浴を行っても良いかの判断をすることで、医療行為は行いません。

ですので、難しい医療行為を任されることもないのです。

入浴前の全身状態の観察とバイタル測定を行い、そして入浴介助を行います。急変や緊急処置が必要な場合には、かかりつけ医師へ報告し指示を仰ぎます。

そして、医師の指示のもと、救急要請を行うか、かかりつけ医に診察してもらうか、訪問看護に依頼をします。

訪問入浴の看護師が1人で急変や緊急処置に対して医療行為を行うことはありません。

「入浴サービスの手順」  

 訪問入浴を行う際の手順を入浴前、入浴中、入浴後の順番で説明していこうと思います。

<入浴前>

利用者のお宅に到着したら、入浴介助で使用する物品を下ろします。

そして、物品のセッティングは介護士が行いますので、その間に、看護師はバイタル測定と全身状態の観察を行い、入浴の可否を判断します。

可能な場合は、介護士に入浴可能であることを伝え、利用者の入浴介助を行います。

初めて訪問入浴を行う場合でも、介護士が段取りを教えてくれますので訪問入浴が未経験でも行えます。

例えば、「この利用者さんは、○○に注意して介助して」といったように具体的に教えてくれます。

私が看護師だから、私が指示を出さないといけないのでは?と思うかもしれません。

もちろん、全身状態に異常がある場合には、指示を出す必要がありますが、利用者の事をよく知っているのは介護士ですので、介護士を信頼し情報を共用するようにしてください。

<入浴中>

入浴中は、1人の介護士がお湯の温度や量の調整をし、もう1人の介護士が、顔と頭を洗います。

その間、看護師は身体を洗います。利用者ごとに、洗い方や順番、注意点は異なってきますので、介護士に手順を聞きながら行っていきます。

<入浴後>

入浴後は、介護士が片付けを行っている間にバイタル測定と記録の記載をします。

記録が終わったら、利用者本人、もしくは家族からサインをもらい、次の利用者のお宅へ移動します。


「1回のサービスにかかる時間」     

看護師以外に介護士と介護士兼運転手と車に乗り込み、順番に利用者のお宅に訪問します。

1回のサービスにかかる時間は短くて30分、長くても45分程度となっています。

この時間に差があるのは、利用者のADLや病状によって介助量が違うため、かかる時間が変わってくるのです。



「入浴の細かい手順」

まずは、訪問入浴を行う際に必要な道具です。
・マット
・防水シート
・浴槽
・お湯の組み上げポンプ
・ホース
・湯温計
・砂時計もしくはストップウォッチ
・手拭き
・プラスティック手袋

次に、看護師が使用する道具です。
・体温計
・血圧計
・聴診器
・SPO2
・秒針付き時計
・筆記用具
・聴診器

以上が最低限必要な物品です。

訪問入浴の看護師は、決められた処置しか行ってはいけません。

また、処置も利用者の自宅に置いている物品のみ使用します。

・入浴に必要なチェック

入用前には、血圧、体温、脈、SPO2の測定を行います。

また、頭の先から爪の先まで観察し異常がないか確認してください。

特に、酸素やバルーンカテーテルなどのチューブ類が入っている方は、異常がないかをきちんと観察する必要があります。

これで問題なければ入浴介助を行います。

入浴中にも、利用者に苦痛や不快に思うことはないか、皮膚トラブルに悪化はないかを観察し、異常や変化があれば、家族に報告と、記録に記載します。

入浴後にも再び、血圧、体温、脈、SPO2の測定と頭の先から爪の先まで異常がないか観察します。

・介助

訪問入浴の介助は看護師1人と介護士2人の3人で行います。

ですが、介護士1人は、入浴の物品準備をしますので、残りの2人で利用者の介助をします。

介助内容としては、衣服の着脱、オムツ交換、洗髪、身体を洗うといった行為です。

この他に、軟膏塗布など決められた処置がある場合には行います。

・記録

記録の内容は、観察した項目を全て記載します。

まずは、血圧、体温、脈、SPO2を記載します。

また、利用者の発言内容や、前回の記録を読み、変化があれば記載します。

もしも、異常がなければ著変なしと記載します。

「仕事量」

1日で訪問する件数は平均で6〜8件となっていますが、スタッフの人数が少ない日や、利用者の希望によって入浴日を変更するため、多い日で10軒訪問する日もあります。

1軒にかかる所要時間は利用者のADLによって違うのですが、短くて30分、長くても45分となっています。

「勤務条件」

勤務条件ですが、雇用主と直接契約を結ぶバイトの場合には、ユニフォームの貸与があります。

交通費は支給されます。昼食に関しては支給はなく、自分で準備しなければいけません。


「患者の状態によって違うスタッフの負担の大小」

訪問入浴の介助量は、利用者のADLや体格、疾患によって違ってきますので、具体的な例を挙げて説明していきます。

1、利用者の体重
訪問入浴を行うには3人のスタッフで介助するわけですが、利用者の体重によって介助量は違ってきます。

ベットサイドから浴槽に入れる際に、寝たきりの人で30キロくらいの小柄な人は1人でも抱えられますが、70キロ以上の人のでは、安易に抱えることは、難しく、場合によっては介護者の腰に負担がかかります。

2、要介助の度合い
要介護1は、自力で立位や歩行ができる方は、転倒しないように見守りもしくは、手をつなぐ程度でいいため、こちらが指示すれば、衣服の着脱やバスタブまでの移動は見守りから軽介助で行えます。

要介護5は、寝たきりで自分で体位変換を行うことも難しいため座位や歩行をすることなんてできません。

ですので、衣服の着脱やバスタブまでの移乗も全介助で行わなければいけません。

3、病状の違い
入浴介助を行う際には、衣服の着脱を行うのですが、認知症や精神疾患の方の場合、まず衣服を脱がすことに抵抗する場合があります。

無理やり脱がしたら、さらに興奮する原因になりますので、コミュニケーションをはかりながら、介助していきます。

また、利用者によっては、吸引が常時欠かせえない人やバルーンバックや24時間持続で点滴をしている人、褥瘡がある人など様々な状態の方がいらっしゃいます。

やはり、このような方の入浴介助を行う際には、スタッフの介助量が増えるのです。

まとめ

訪問入浴についてご理解していただけましたか?

看護師だけでなく様々な人達との連携によって成り立っていることがお分かりいただけたかと思います。

その利用者の性別や体型、病状などの事情によって臨機応変に対応し、周囲の人と協力しながら作業を進めていく、とてもやりがいのある仕事なのです。