あなたは、きちんと車椅子の介助を行っていますか?
学生や看護師の方の中には、きちんとした車椅子介助の知識を持たないまま、看護を行っているため、間違った方法で行っていたり、場合によっては事故を起こしてしまうこともあります。
そのようなことにならないためにも、まずは車椅子のことを知った上で看護を行うことが大切です。では、車椅子介助に関する看護についてお話しして いこうと思います。
看護技術 | 車椅子を使う際の注意点
まずは、車椅子を使う際の注意点です。
車椅子を使い際には、まず車椅子の点検を行います。
・ブレーキはきちんときくか。
・フットレストやアームレストの上げ下げは可能か?
・タイヤに空気はきちんと入っているか?
・車椅子に破損はないか。
・使用する患者さんのニーズに合った車椅子を使用しているのか?
について確認します。
最後に記載した患者さんのニーズに合った車椅子を使用するとは、どういったことなのか?と疑問に思った方もいらっしゃっると思います。
車椅子は、下肢の機能低下や機能障害のある患者さんに使用すると乗り物で、患者さんにとって足の代わりになるものです。
ですので患者さんの体型にあった車椅子である上に、ADLに合った物を選ぶ必要があります。
例えば、ほぼ寝たきりで車椅子を自走できない患者さんの場合には、リクライニングできる車椅子を使用してください。
なぜ、リクライニングできる車椅子を使用する必要があるのか?
と申しますと、まずは座位をきちんと取るのが難しいので、リクライニングで調整しながら座位を確保するためです。
また疲労感に合わせても調整することができるので、このような患者さんの場合にはリクライニングのできる車椅子を使用してください。
また、車椅子には様々なサイズがあります。移乗や自走をしやすくするためにも、患者さんの体型に合わせた車椅子を選択してください。
ベットから車椅子への移乗方法
ベットから車椅子へ移乗させる方法ですが、移乗前にはきちんと全身状態の観察を行ってください。
特に、数日ベット上安静で過ごしていた患者さんは筋力が落ちているため、自分で立位を取ることが困難であったり、血圧が急激に低下する可能性があります。
血圧が急激に下がると、場合によっては意識消失する可能性がありますので、移乗前にはバイタル測定を行ってください。
また、ベット上で端座位になる場合も、急に起き上がるのではなく、ベットのギャッジアップの機能を使ってゆっくり起き上がるようにしてください。
また、この際には患者さんに痛みや気分不良などないか声をかけながら行ってください。
次に、車椅子の置く位置ですが患者さんが乗り降りしやすい場所に置きます。
1人で移乗できる場合には、ベットから見て90度もしくは45度に置きます。
そして、ブレーキがきちんとかかっているのかを確認し、ベット柵もしくは、車椅子のアームレストをしっかり持って立位をとり、ステップをきちんを踏んで車椅子に移乗してもらいます。
この際、勢いよく車椅子に座らないように注意してください。
勢いよく車椅子に座ると、転倒してしまうリスクや患者さんによっては、圧迫骨折など引き起こしてしまう可能性がありますので注意が必要です。
次に介護者が抱える場合ですが、この場合はベットと並行においてください。
そして、ブレーキをしっかりかけ、アームレストとフットレストが外せる場合には、両方外してください。
そして、しっかり抱きかかえ、患者さんにしっかり立位をとりステップが踏める場合にはきちんとステップを踏んでもらい、車椅子にゆっくりすわってもらいます。
車椅子からベットに移る際には、ベットから車椅子に移乗した方法と同様に行います。
自分で移乗する場合と介助して移乗する場合では、方法が少し違ってきますので注意が必要です。
車椅子への移乗の際に1番頭に入れていただきたいのが、患者さんの苦痛を最小限にし、安全・安楽に行うことが大切です。
よく、車椅子の介助をする際に患者さんのペースではなく看護師のペースで行う方がいらっしゃいます。
ですが、看護師のペースで患者さんを動かすことは、患者さんにとっては負担になる可能性がとても高いです。
車椅子乗車中の看護
では次に車椅子乗車中の看護についてです。
あなたは、実際に車椅子に乗車したことがありますか?
今までに、車椅子に乗車したことのない方は是非一度乗ってみてください。
実は、車椅子に座っていると、恐怖心を抱くことがたくさんあるのです。
恐怖心を抱く1つがスピードです。
押している看護師は、自分の歩くスピードで押していたり、急いでいる場合には早足で押したりしていませんか?
車椅子に乗っていると、視線が低いので、歩行スピードよりも早く感じます。
ですので、落ちないか?といった不安を抱きます。
ですので、すこしゆっくりのペースで歩いてください。
また、病院や施設で車椅子に座らせた後、しばらく車椅子に座らせたままにしていませんか?
そんなことをしていたら、お尻や腰、背中などに痛みが生じてきます。
自分でプッシュアップできる場合には声かけをし、自分でできない場合には介助にてプッシュアップをしてください。
そして、辛いようであれば、ベットへ臥床させてあげてください。
座位をとり続けることは、体力的にもしんどいです。
患者さんのことを思って何がベストか考えて介助することをお勧めします。