脳性麻痺と聞けばあなたは、どのようなイメージを持ちますか?
脳性麻痺と聞けば脳疾患でしょう?と思う方が多いかと思います。
ですが、脳性麻痺は整形外科とも関係の深い疾患でもあります。
では、脳性麻痺の看護についてお話ししていこうと思います。
脳性麻痺とはどんな病気?
脳性麻痺とは、脳の神経機能が障害されて発達障害が起こる疾患です。
脳性麻痺が起こるのは、先天性と後天性があります。
先天性疾患では、染色体異常や遺伝子異常、胎児感染症や脳の奇形、母親の重度の貧血や妊娠中毒症、低体重児などが原因です。
後天性疾患では、分娩時外傷や脳炎、脊髄炎などが理由に発症します。
生まれてすぐに脳性麻痺の解るわけではありません。
もちろん、出生してすぐに解る場合もありますが、出生後、半年ほどして家族が子供の成長に違和感を感じ検査をしてみると、脳性麻痺だと解る場合もあるのです。
脳性麻痺だと気づく点としては、生後半年経っても首が座らない、ミルクを吸う力がなくうまく吸えない、元気がない、追視をしない、筋肉が発達せず、成長しても座ったり歩いたりしないとった事です。
また、脳性麻痺は神経異常の疾患ですので、麻痺と不随運動を起こすのが特徴です。
麻痺のレベルは個人差があり、少しずつ動きにくさを感じる人から、全く自己にて体を動かす事ができず、寝たきりという場合もあります。
脳性麻痺の患者さんに対する看護とは?
脳性麻痺の患者のが、なぜ整形外科の診察を受けるのか、まだピンとこない方もいらっしゃるかと思います。
脳性麻痺になると、運動機能が低下するため、整形外科を受診し運動機能が向上するように治療を行ってきます。
整形外科を受診するからといって、すぐに手術をするわけではありません。
まずは、リハビリを行っていきます。
リハビリでは、理学療法、作業療法、そして言語療法を行います。
理学療法では、神経生理学的な練習と拘縮予防を行います。
作業療法では、日常生活動作の練習を行い、言語療法では、発声練習、咀嚼や嚥下などの練習を行います。
では、看護師としての役割はどういったものなのか?
脳性麻痺は出生児から発症するので、子供の頃から治療を行っていかなければいけません。
ですので、病棟には脳性麻痺でリハビリを受けるために入院します。
病院の方針によって異なりますが、母子入院をしなければいけない所と子供のみの単独で入院しなければいけない所があります。
母子入院の場合
母子入院の場合、母親が日常の世話をしてくれるので、看護師としては楽に思うかもしれませんが、母親に任せきりにしてはいけません。
母親自身も精神的、肉体的にも負担を感じますのでサポートしなければいけません。
特に、1人で抱え込まないようにケアするのも看護師としての役割です。
単独入院
単独入院の子供の場合は、日常生活の援助をサポートしなければいけません。
単独入院とするのは、小学生以上としている病院が多いです。
小学生にもなれば一通り、自分で自分の事はできますが、といっても小学生なので、わがままを言ったり寂しくなったり、まだまだ大人がサポートしなければいけません。
ですので、子供の心理を理解してうまくコントロールしなければいけません。
リハビリのみの入院であれば、日常生活援助がメインとなってきますが、中には手術を行う子供たちもいています。
脳性麻痺では、年齢に応じた体の成長が著しく特に股関節や足関節が変形しますので、腱の延長やハムストリングの延長術などを行います。
手術は、全身麻酔を使用しておこないますので、手術後の管理が必要です。
手術後、数日間は点滴加療しなければいけませんし、ギプス固定で手術室から帰ってきます。
子供といえども、褥瘡はできますし、腓骨神経麻痺を起こす可能性もあるので、ギプス管理を行わなければいけません。
また、ギプスをつけての日常生活はとても不便です。
特に股関節の手術をした場合、腰から両足首まで全てギプス固定となるので、自分で動く事は出来ませんし、座る事もできません。
ですので、少しでも不快な思いを軽減できるようにケアを行う必要があります。
脳性麻痺の疾患の場合によく見られる症状としてけいれんや体温調整異常、便秘が挙げられます。
けいれんに関しては、けいれん予防として内服加療を行いますが、けいれんを起こした際には、どこが何分ほどけいれんしたかを観察し医師に報告します。
体温調整異常では、自分で体温調整がうまくできないので、衣服の調整や室温の調整を行う必要があります。
便秘に関してですが、日頃から水分をしっかりとらせ、バランスの良い食事と運動を行うように指導します。
また、腹部マッサージや温めるんどして、便がだしやすい環境を整えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?脳性麻痺について少しは理解していただけたでしょうか?
脳性麻痺と病名だけ聞けば、脳の疾患だと思い、整形外科で治療するとは思われませんが、実は整形外科で治療する疾患なのです。
主に、リハビリ治療を行うのですが、成長段階に合わせて手術を行わなければいけません。
手術は、全身麻酔を行うので一般的な術後経過と同様で、全身状態の観察を行います。
それに加えてギプスの管理を行うことも重要です。
また、大人と違い、子供はこちらの想い通りに動いてくれなかつたり、理解してくれなかったりします。
ですので、子供の心を理解した上で看護を行う必要があります。