看護師といえば、他の職業に比べても確実に需要が多く転職先に困ることはほとんどないのが現状といって良いでしょう。しかし、この状態はそれほど長くは続かないともいわれています。実は、2025年には10万人以上もの看護師が余るともいわれているのです。これは、現職で働いている看護師さんたちの多くが人手不足で多忙を極めている中、大変意外なことではありますが、そういわれるのにききちんとして根拠があります。

医療業界の中で既にあふれている分野といえば歯医者さんが挙げられるでしょう。今やコンビニよりも多いといわれる街の歯医者さんがここまで増え続けた背景には、1960年代に見られた深刻な虫歯の増加がありました。この状態を改善しようと進められたのが歯学部の増設で、その結果、歯科医はどんどん誕生していき虫歯の増加はやがて頭打ちとなりました。しかし、開業を見込んだ入学希望者が相次いだ歯学部は相変わらずそのほとんどが存続していたので、街にはコンビニ以上に歯医者さんができるようになってしまったのです。歯医者さんは患者さんの奪い合いとなり、経営状態が悪くなって廃業せざるを得ないところも出てしまいました。

そして、看護師についてもこれを同じ状況が見られるのです。歯学部が増設されたように看護学科も軒並み増設されていき、看護師はどんどん増え続けています。現在のところは、それでも足りない状態ではありますが、これが今後も続けばやがては歯医者さんと同じ道をたどるだろう、というのが根拠なのです。しかし、そうはいっても、すべての看護師が余るわけではなさそうです。来るべき超高齢化社会に向けて活躍が期待されているのが、高齢者などの自宅を訪問してさまざまな活動をする訪問看護師です。また、より専門的な活躍ができる専門看護師や認定看護師、ケアマネージャー救急救命士など、看護師からステップアップした資格を持つことも飽和状態を生き抜く一つの方法といえるかもしれません。