看護師の労働環境はしばしば問題になっています。夜勤や交代制勤務、サービス残業の多さに体調を崩して職場を退職する看護師が後を絶ちません。例えば交代制勤務の場合、2交代制と3交代制の二つが主流です。2交代制の場合はどうしても12時間を超える労働になってしまいますし、3交代制の場合は日勤が終わったその日に夜勤が始まるなど、仕事と次の仕事の間の時間が8時間程度しかないといったこともあります。このような状態が続けば看護師が長期的に働くことがまず不可能で次々に看護師が辞めていってしまうようになると、残された看護師にさらに負担がのしかかるという悪循環が出来上がってしまいます。

このような負のスパイラルをなくすために日本看護協会では看護師の労働環境を改善するように働きかけています。例えば看護師の労働実態を把握するために「時間外勤務、夜勤、交代制勤務等緊急実態調査」を行ったり、研修なども時間内に行ったりするように奨励しています。厚生労働省では「労働時間・年次有給休暇・賃金・安全と健康確保対策」を実施し、少しでも看護師の労働環境を改善し、慢性的な看護師不足に歯止めをかけようとしています。

最近の傾向では、日本看護協会が作成した「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」に示してある11の項目に関して遵守しようという病院やクリニックが増えてきています。このガイドラインには夜勤や交代制勤務が抱える課題や看護師の負担を軽減させるための対策方法、夜勤・交代制勤務に関連する規定や法令についてわかりやすく開示されており、看護師を受け入れる病院側に積極的な改善を促しています。とはいえ、緊急を要する仕事が多い職場ですから、労働環境を改善するために色々取り決めをしても、うまくいかないのが常でしょう。それでも前へ進めていくためには看護師だけでなく、医師やスタッフなどそこで働く人全員が参加して、業務内容やスタッフの配置などを考えていく必要があるでしょう。