インシデントレポートの書き方

看護師のインシデントレポートとは?

インシデントレポートは、病院の中において必要な報告書の1つです。

報告し事例を分析することで医療事故を未然に防ぐことをを目的にしています。

インシデントレポートの対象となる事例は、ミスをしてしまったが患者さんに影響がなかった、または軽微だった。というもの。

医療事故にまで至ってしまったものに関しては「アクシデントレポート」または「オカレンスレポート」というものがあります。

その他、病院によって、ミスを犯しかけ「ヒヤリ」「ハッと」したが途中で気が付いて未然に防ぐことが出来たことを書く「ヒヤリハットレポート」というものがあります。

病院によって細かく分類されているため、書式も色々あるようですが、アクシデントであったりヒヤリハットに比べて、インシデントレポートは書く機会が多くあるものだと思います。

何故ならば、未然に防げたわけでもなければ大事に至ったわけでもない、でも一歩間違ったら大事に至ったかもしれないという意味で、注意喚起するには適しているからです。

インシデントレポートのイメージ

インシデントレポートを書くことに抵抗があるということはありませんか?

新人の頃は日に数枚書くなんて経験をする人もいるかもしれませんし、ずっと何もなかったのに、始めて失敗をしてしまい書くことになって落ち込んでいますという人もいるかもしれません。

人間のすることには、必ず失敗もつきものだと思います。

誰もわざと失敗しようなんて思わないです。

それでも、おきてしまうことに対して、どう気をつけていくべきか?

誰でもこういったことを起こす可能性があるんだよということを周知させて、みんなで気をつけるというものがインシデントレポートを書く本来の意味です。

しかし、頭でこれが分かっていても、「こんなことをしてしまって、恥ずかしい」とか「こんなこと、馬鹿だと思われるんじゃないか?」とか思ってしまうと、書くことに抵抗を感じてしまう。

気持ちはわかります。

それでも、この気持ちを踏み台にして成長する場合もあります。

そしてこの気持ちを経験しないで看護師を続けている人はいないと思います。

本来のインシデントレポートの目的を考えること、これも1つの仕事。
嫌がるのではなく、どうして起きてしまったのか?
どうしたらよかったのか?今後どうしたらよいか?を考えられることが大切です。

インシデントレポート(例)

書式は色々あると思いますが、発生後○○時間以内とか○日以内に報告という決まりがあります。

①患者のID番号 患者氏名 年齢 診療科
②発見場所 発見者( ※発見者については、発見者が当事者か否か。当事者でなくても発見者が現場で居合わせたということでインシデントレポートを書くことになります。)
③看護師氏名 看護経験年数 現職場での経験年数(※これは管理者のみに通知され、公表はされない)
④事象の内容 ・注射に関すること
・内服に関すること
・チューブ・ドレーンに関すること
・検査に関すること
・転倒、転落
・人工呼吸器に関すること
・医療機器に関すること  など
⑤事象の原因と思われるもの ・知識不足
・確認のスキップ
・手順のスキップ
・技術不足
・思い込み
・見落とし
・説明不足  など
⑥事象の起こった内容 事実のみを簡潔に記載
⑦事象の起こった原因 こちらは、そのときの自分の心理状況も入れながら何故起こってしまったかを記載
⑧対策 どうしたらよいと思うかを記載
⑨リスクマネージャーからのアドバイス リスクマネージャー=師長からのアドバイスが記載される

発見者と当事者の考え方

インシデントレポートは「犯人探し」のために書くものではありません。

「個人の能力を評価」するためのものでもありません。

それでも、どうしても実際には「だれだれがあんなことしちゃったんだって。」「あぁー。」みたいな会話流れます。

インシデントレポートは起きたことに対する原因となった人が書くというだけのものではなく、その現場に居合わせた発見者が書くことで、他人事で「しちゃったんだ」ではなく、外からはどのようなアプローチができたか、その前に起きてしまった現場からの立場では、何ができるかを考えることが可能となります。

全体でミスを防ぐ環境を作ることが大切ですし、他人事にしないことが重要になってきます。

発見者として書くことの例として、例えば違った薬剤の入った点滴が準備されていてそれを次の勤務者が患者に持っていくときに気がついた。

違った薬剤を注入した人が書くのではなく、発見した人が書きます。

ただし、新人さんが薬剤注入を間違ったということだと、当事者も発見者も両方で書くという場合もあります。

この辺は、師長の指示を仰ぐ必要があります。

それから、検査室の場合胃カメラの検査できたのに食事をしてきてしまった患者を発見!

患者は「そんな説明を聞いていない」という。

こんなときは、外来の説明不足が原因ですが、発見した検査室で記載し、外来に説明の依頼をしたりします。

当事者にこだわらず、関わった人が、その起こってしまったことから問題点・改善点を見つけ出すことが重要な意味をもっているといえます。

カンファレンスの進め方

カンファレンスをする場合、インシデントレポートを記載した人を中心に行われると思います。

その人を責めたるのではなく、何が不足していたのかを客観的にみて進めましょう。

インシデントレポートから学ぶことはたくさんあります。

インシデントレポートをうまく活用していくことで、よりよい業務につなげられるように間違いやすい手順、人によって方法がかなり違っていたという事実から、統一した安全な方法の選択が、生まれるようなカンファレンスとしましょう。

またインシデントレポートひとつでも看護師の転職面接や条件交渉の面でも有利に働くこともあります。

手間な業務などと思うことなく取り組むことをおすすめします。