皮下注射とは

皮下注射の目的

医師の指示の元、皮膚と筋肉の間の皮下に薬液を注入して薬剤を体内に吸収させるためにおこないます。(筋肉注射より薬剤の効果発現は遅い)

皮下注射方法

1)カルテの確認
まず、患者が何のために、何の薬剤を、どれだけ投与するのかを確認します。薬剤は内容によって投与方法が決まっているので、どの方法で投与されなければいけないのかも確認します。

2)物品の準備
1.注射器23G、25ml(もっと細い針、少ない容量の注射器のときもある)
2.アルコール綿
3.薬剤
4.テープ
この時点で、他の看護者とカルテ氏名、薬剤名、投与方法の確認をダブルチェックします。

3)皮下注射の手順
1.患者の確認
患者を処置室に誘導します。患者自身に氏名をフルネームで答えてもらい、カルテの氏名、指示に間違いないか患者と共に確認します。

2.患者への説明
何のために、どのような薬剤を、どのような方法で投与するのかを説明する。患者が不安に感じている場合は、より詳しく説明しながら緊張が取れるよう言葉かけをします。患者の同意書がいるものには医師と本人のサインを確認する。

3.注射器に薬剤を吸う
注射器の中に空気が残らないように、薬剤を吸ってから一度押し出し、先端まで薬剤が充填してるか確認します。

4.注射部位の確認
皮下注射の場所は、肩峰と肘頭を結んだ上腕後側正中線の下1/3の部位に穿刺します。

5.消毒
アルコールのアレルギーやかぶれがないかを確認し、針の刺入部位を中心から外側に向かって円を描くように消毒し乾かします。アルコールでアレルギーやかぶれがある患者は、ザルコニンなど代替で消毒をおこないます。

6.刺入
注射部位を軽くつまみ、針を30度の角度で穿刺します。穿刺したら患者にしびれがないかを確認し、神経損傷の有無を確認します。問題なければ、一度注射器の内筒を引いて血液の流入を確認し、血管への刺入がないかも確認する。異常なければ薬剤を注入する。

7.注射器を抜く、マッサージをおこなう
薬剤を注入し終わったら、注射器を抜きアルコール綿(ザルコニン綿)で抑えながらマッサージをします。マッサージが終了したらテープを張り終了します。

●皮下注射のリスクと注意点
1) 誤薬や患者の間違い
技術に慣れてくる頃に増えるリスクです。必ず患者氏名、薬剤名、薬剤方法に間違いがないかを他の看護師とダブルチェックをおこないます。患者氏名は必ずこちらから聞くのではなく、患者自身にフルネームを言ってもらい確認します。

2)空気塞栓や神経損傷
空気塞栓は、特に薬剤を注射器に入れるときに、シリンジの先端に空気が残っていて起こることが多いです。シリンジ内の空気は確実に抜くようにします。
神経損傷は、刺入部位の間違いで神経に触れておこることが多いです。針を刺入した時点で、神経に触れていないかしびれがないかを確認し、しびれがある場合はただちに注射針を抜き、医師に報告する。

3)投与方法などの間違い
薬剤によって投与方法が違うので、必ず確認する。また、注射後揉んでよいもの、揉まなくてよいものがあるので注意します。

4)針刺し事故
針刺し事故は、薬液の準備中や、投与後のリキャップでおこることが多いです。自分の身を守るためなので、細心の注意で準備をおこない、投与後はリキャップはせず、すぐに廃棄ボックスへ捨てることを徹底します。針刺し事故が起きてしまった場合は、ただちに流水で流し、上司、医師に報告しなければいけません。

皮下注射