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看護師といえば、病院で働いているというイメージが強いと思います。
近年になって、転職する際の選択肢として、人気が高くなっているのが一般企業の医務室などで働く産業看護師(企業看護師)といわれる職種です。

しかし、「一般企業で働くというイメージがわきにくい」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、産業看護師の仕事内容や年収、適性のある看護師についてまとめていきたいと思います。

産業看護師の仕事内容とは?

民間企業で看護師を必要とするのは、次のような理由からといわれています。
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  • 社員の健康維持を行うことで、健康的に労働に勤しんでもらうため
  • 会社の労働で健康障害が起こらないよう、疾病の予防に努めるため
  • 生産性を高めるために、企業文化の発展・職場の風土づくりを行うため

産業看護師の仕事内容も、上記3つの目的に沿っています。[/d_box]

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主な職務内容は、社員の健康教育です。

製鉄所では高熱作業を行う場合がありますし、化粧品メーカーでは化学物質を多く扱う場合があります。
こうした危険作業を行う企業では、安全かつ健康的に業務を行うために、熱中症の危険性や化学物質を扱うことによる健康被害などの講習を行うことがあります。
アルコールと飲酒後の運転に関する講習や禁煙に関する対策も業務範囲に入ってきます。

また、近年では、うつ病やパニック障害といった精神障害の発症が問題となっていることもあり、メンタルヘルス対策に積極的に取り組む企業が多くなっています。
こういった企業であれば、ストレスの改善策の提案なども業務となってきます。

その他、社員の健康管理の一環として行う健康診断の実施や実施後の保健指導、過重労働対策、企業内にうつ病などによる休職者がいる場合には、休職者の復職支援など、その業務範囲は多岐にわたります。

産業看護師の年収とは?

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産業看護師の年収については、企業規模(中小企業か大企業か)や給与体系によっても異なってきます。
公開されている求人から産業看護師の平均年収を見ると、350万円~700万円とばらつきがあり、平均すると430万円~500万円くらいとなります。
これは、看護師としての臨床経験や産業保健に関する経験・知識の有無などによっても変わってきます。

産業保健に関する知識を身につけるとともに、看護師以外の周辺業務に関する資格を取得したり、各種研修や講習に積極的に参加したりすることで、社員の健康管理に貢献する姿勢を示すことが、年収アップの近道といえます。

求められる看護師像とは?

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産業看護師の最大の魅力は、一般企業社員と同じ生活リズムで働けることにあります。
病院勤務のように夜勤がないので、生活リズムを一定に保つことができることから、生活リズムを乱すことなく働きたい看護師に人気の高い職場となっています。

その中で求められる看護師像としては、コミュニケーションスキルの高い看護師です。
産業看護師の場合は、社員の健康管理が主な業務です。
その人数は企業規模にもよってきますが、大企業になると数百人~数千人に及ぶこともあります。

性格も人によって様々なので、色々な性格の人と根気強く対話することになります。
そういった地味な作業を続けていけることが大切です。
健康診断を行う時は人事や産業医など様々な人とコミュニケーションを取ることになるので、そういったことをスムーズにこなせる能力も必要です。

また、産業看護師の場合、病院のように配置人員の基準が存在しないため、多くの企業では1人で働くことになります。
企業の中でも孤立した環境になるので、そういった場面でもストレスを感じない、自分で考えて答えを見つけることができるかどうかも大切な能力といえます。

産業看護師の求人

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人気のある産業看護師ですが、医療機関と比べると看護師のいる企業が少ないのが現状です。
つまり、そのぶん求人も少ないというわけですね。

求人誌やハローワークでは、なかなか産業看護師の求人は見つかりません。
産業看護師の求人を1番見つけやすいのは、看護師転職サイトです。

37ただ産業看護師は人気があるため、非公開の求人であることが多いです。
非公開の求人は、登録することによって知ることができますので、まずは幾つかの看護師転職サイトに登録するのが産業看護師になる近道です。
登録後、産業看護師希望と伝えておくようにしましょう。

ちなみに、どのサイトも登録は無料です。

転職する前に

産業看護師と病院看護師では、職務内容も求められる看護師像も異なってきます。
また、民間企業ではデスクワークも多くなり、ある程度のビジネスマナーも求められる機会が多くなります。

入社時点で完璧にできない部分があるのはある程度仕方ありませんが、少しでもそういったスキルを身につける努力をすることが大切です。