《事前の準備》
1) 注射指示書を確認
→目的や患者、薬剤、時間、投与経路、量を確認する
2) 患者のアセスメントをする
3) マスクの着用
4) 処置台をアルコールにて清拭
5) 手洗いの実施
6) 必要物品の準備
→1人の患者に1つのトレイで準備をする。
7) 指示書と薬液を照合する(ダブルチェック)
8) 消毒用アルコールで手指を消毒し、手袋を着用する。

注射の事前準備の注意点とコツ

1)3回確認を忘れないようにする

薬剤と手に取ったとき、薬剤を注入するとき、薬剤を注入し終わったときのタイミングで投与する薬剤と量を確認することを忘れないようにする。

2)6つのRを意識

誤薬を防ぐために6つのRを意識する。6つのRとは、正しい患者(Right PatientのR)、正しい薬剤(Right DrugのR)、正しい時間(Right TimeのR)、正しい投与経路(Right RouteのR)、正しい量(Right DoseのR)、正しい目的(Right PurposeのR)のこと。

アンプルからの吸い上げ方法

1) アンプルに溜まった薬液を落とす

アンプルの頭部を軽く指ではじいたり、アンプルを持ったまま回転させたりして、アンプルの頭部に溜まった薬液を下に落とす。

この時にアンプルを上下に振ってしまうと周りにぶつかって割れる危険性があるので上下には振らないようにする。

2) アンプルを消毒する

アンプルの頭部の切断する箇所の周囲をアルコール綿で消毒する。

3) アンプルを奥側に折る

アンプルの頭部にはマーク(イージカットマーク)が付いているので、そのマークが手前になるように持ち切断面にアルコール綿を添える。

アルコール綿を添えることで薬液の中にガラス片が入るのを防ぐことができる。

もし混入したら、ガラス片は10秒ほどで薬液内に浮いてくるか、沈む。

アルコール綿の上からマークの上側を持ち、アンプルの頭部を奥側に折る。

4) 薬液を吸い上げる

注射器のキャップを外したら、不潔にならないように薬液を吸い上げる。

この時に針の先がアンプルに触れてしまうと針先が不潔になったり傷ついてしまうので、針先がアンプルに触れないように注意する。

吸い上げたら針を上に向けてシリンジを持ち、空気が混入しているかチェックする。

5) 空気を抜く

空気が混入していたら、注射筒を指ではじいて注射筒の先端に空気が集める。

先端に集めたら針の中にある薬液をシリンジに入れるために、少しシリンジを引く。

6) シリンジ内に薬液を満たす

片手でシリンジを持って、もう片方の手でシリンジを押して注射筒の先端まで薬液を満たすためにシリンジを押す。

7) キャップを戻す

針刺しを防ぐためにキャップをすくい上げたり、片手リキャップ法でキャップを戻す。

アンプルの扱い方の注意点やコツ

1)手を切らないように注意する

アンプルを折るときに手を切りやすいので注意する。

特に20mlなどの大きめのアンプルの時は手を切りやすい。

アンプルを割るときに手にスナップを利かせてしまうと手を切りやすいので、大きく弧を描くようなイメージを持って割るとうまくいきやすい。

2)薬液を最後まで吸う

アンプル内に薬液が残ってしまい最後まで吸えない時は、針の刀面を下向きにすると最後まで吸うことができる。

3)空気をしっかり抜く

指ではじいても注射の中の空気がうまく抜けない時は、内筒を引いて新しく空気を内筒に入れてから、注射を逆さにして、新しくいれた空気と注射内に残っていた空気を一緒にさせるとうまくいく。

バイアルからの吸い上げ方法

1) ゴム栓をアルコール綿で消毒する

バイアルのキャップを外してゴム栓の部分をアルコール綿で消毒し乾燥させる。

メーカによって滅菌されていない場合もあるので消毒を忘れないようにする。

2) 溶解液を注入する

溶解液を吸った注射器の針をゴム栓の中央にまっすぐに刺し、ゆっくりと溶解液を注入する。

この時、針を垂直に刺すことでバイアルのゴムが削られること(コアリング)を防ぐことができる。

3) 溶解する

溶解するには注射器を抜いて溶解する方法と、抜かずに溶解する方法の2種類がある。

注射器を抜かずに溶解する場合

① 空気を抜く

バイアルの中が陽圧になるのを防ぐため、薬液面から注射針の先を出して、内筒を引いて注入した薬液を同じ量の空気を抜く。

② 溶解する

バイアルに注射器が刺さった状態のまま持ち、静かに上下に動かして溶解させる。

③ 空気を注入する

バイアルを処置台に置いて片手で持ち、もう片方の手で注射器の中の空気をバイアルに戻す。

こうするとバイアル内が陽圧になるので薬液が吸い上げやすくなる。

④ 薬液を吸う

注射器の外筒と内筒を固定しながら持ったまま、バイアルを逆さまにして薬液を吸う。

内筒が圧力で飛び出してしまうことがあるので、内筒と外筒を一緒に持つようにする。

注射器を抜いて溶解する場合

① 空気を抜く

注射器の針の先を薬液面から出し、注入した溶解液と同じ量の空気を抜いた後、注射針をバイアルから抜く。

② 溶解させる

バイアルを軽く回転させて溶解させる。

③ 空気を注入する

溶解させたらバイアルを置き、ゴム栓部をアルコール綿で消毒する。

吸い上げたい薬液の量と同じ空気の量を注射器に吸ってから、バイアルに注入する。

空気を注入してバイアル内を陽圧にして薬液を吸いやすくする。

④ 薬液を吸う

バイアルを逆さまにして、薬液を吸い上げる。

4)針を抜く

針刺しをしないように、すくい上げたり、片手リキャップ法でキャップを戻す。

バイアルの扱い方の注意点とコツ

1) 薬液が噴射するのを防ぐ

バイアル内が陽圧になると、次に穿刺するときに穿刺したところから薬液や噴出するおそれがあるので、バイアルに注入した溶解液と同じ量の空気を抜くことを忘れないようにする。

2) 薬液の扱いに注意する

バイアルを回転させるときに激しく振ってしまうと薬液が泡立ってしい、薬液が扱いづらくなってしまうので、激しく振らないように注意する。

注射剤の準備