新人看護師は覚えることが多くて本当に大変ですが、その中でも患者さんの全体像を掴むというのがいまいちわからないという人は多いのではないでしょうか。
患者さんの全体像といっても、別に生まれてからこれまでの歩みすべてを指しているわけではありません。何らかの疾患を抱えている患者さんの病院における情報、と捉えれば良いでしょう。バイタルサインをはじめ、病気の症状、顔色の良し悪し、気分の優れ具合、ニード、さらには患者さんを取り巻く社会的な背景や生活過程に至るまで、注意深く観察、ケアしているとその患者さんの全体像は自然に掴めてくるものです。その中には直接疾患に関することではないことももちろん含まれているわけですが、それらも含めてトータルで患者さんをみるということが大切になってきます。例え同じ疾患を抱えていても患者さんが違えば全体像も違ってくるのは当然のことで、患者さん一人一人に合わせてより適切なケアができるようになることが全体像を掴む目的なのです。忙しい病棟においては毎日の業務に追われてこれらの情報をキャッチすることが難しくなりがちですが、そうした情報を見逃さないようにすることが患者さんの早期回復につながっていくのです。
また、患者さんの全体像は、全体関連図と呼ばれる図で表すことが多くあります。関連図は、この他に病態関連図と呼ばれる図もあり、これは患者さんの抱える病気に関する情報を図で表したものです。そして、この図に前述の情報を書き加えていったものが全体関連図となります。文字の羅列だけで書いたものよりも視覚的に表されたものの方がはるかに素早く、容易に把握することが可能となるからです。看護師は一人で何人もの患者さんを受け持たなければいけませんが、残念ながら一人一人の全体像をすべて記憶しておくことは困難だといえるでしょう。しかし、この全体関連図を見れば、患者さんの情報を瞬時に把握できるというわけです。