普段働いていて「この仕事は越権行為ではないか」という疑問や悩みを持っている看護師が多いようです。例えば開業医の下で働く看護師がレントゲン撮影をする行為を目にしたことはないでしょうか。実は看護師にはレントゲン撮影をする権利はありません。「診療放射線技師法」第24条によれば医師、歯科医師、診療放射線技師でなければ放射線を人体に照射することを禁じており、違反すれば一年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、または懲役と罰金の両方が科されます。しかし、近年人件費削減の一環として放射線技師を雇わず、看護師にレントゲン撮影をさせる病院が後を絶ちません。このような行為を目撃した患者や内部から告発が届いて行政指導が行われることが多いです。行政指導の場合、保健所から現地調査のために調査員がやってきて、改善を促して終了となりますが、もし悪質と認められるケースであれば、逮捕者が出ることもあります。過去には無資格の事務員や准看護師、柔道整復師などがレントゲン撮影を行って逮捕されました。

照射は医師がすれば良いが、セッティングに関してはそこまで厳密に資格を求めていないというのが慣例のようになっています。しかし日本画像医療システム工業会では「レントゲン撮影、CT撮影において看護師等が準備(セッティング)を行い、医師が厳密なチェックを行わずに照射ボタンを押す行為は、診療放射線技師法違反に該当する」と明確に述べています。確かにポジショニングがうまくいかなかったり、画像がうまく撮れていなかったりしたことで、いたずらに再撮影をすれば、健康な細胞を傷つける結果になりますので、決してあってはならないことです。中にはプロテクターは患者に装着させるけれども、被ばく量を測定するフィルムバッジは与えられないといったところもあり、このような仕事を命令されている看護師の中にはいつ訴えられるか心配しながら業務を行っている人も少なくないのです。医師に進言するのが難しいようであれば、きちんとした医療を行う所へ転職した方が良いでしょう。