看護師が転職先を決定する際、最重要視するポイントとしてあげられることの多いのが、福利厚生が充実しているかどうかという点です。今もなお、全国で5~6万人もの看護師が不足していると言われており、どの病院も看護師不足を解消するために、福利厚生の充実を図っています。

そこで、看護師に人気のある福利厚生の例をあげて、どのような看護師に人気があるのかについてまとめてみたいと思います。

遠方から就職する看護師への支度金・支援金

これは、離れた地域から、病院に入職するために引っ越してきてくれる看護師に対して、病院が一時金の名目で引越し費用を支給する制度のことをいいます。文字通り、遠方からIターン、もしくはUターンしようと考えている看護師に、大変人気のある福利厚生制度です。

その他、看護師の求人サイトを見ると、看護師への就業支援金制度を設けている病院が、意外と多く見られます。ただ、注意しなければならないのは、こういった支援金は無償で支給されるものではなく、一定期間(金額により半年~1年、高額であれば3年)その病院で勤務しなければ、支援金の一部もしくは全部について返還義務が生じるので注意が必要です。

看護師のための寮・住宅手当

大規模な総合病院などに限られますが、優秀な看護師に長く働いてもらうために、寮もしくは借り上げ社宅を提供している病院があります。間取りがワンルームや1Kであれば独身寮で、1DKや1LDK以上の間取りであれば既婚者向けの住宅としているところが多いようです。

これは、優秀な看護師にできるだけ長く働いてもらいたいという病院側の思惑もありますが、通勤に便利な場所に寮(借り上げ社宅)を用意することで急な呼び出しにも対応しやすくするという意図もあります。

通勤時間の問題は、残業や交替制の夜勤(準夜勤も含む)がある、不規則な勤務形態の看護師にとっては切実で、働きやすさを左右する重要な問題です。無料、もしくは格安の家賃で住めることもあり、寮については、転職を考える看護師だけでなく、新卒で遠方から就職する看護師にも人気のある福利厚生だといえます。

住宅手当は、寮(社宅)以外に住んでいる看護師に支給されます。多くの場合は、世帯主でなければ出ない病院の方が多いですが、上場している一般企業のように8割負担というわけにはいかないものの、4万円~家賃の半分くらいは支給される病院もあります。

院内保育

こちらも大規模な総合病院などに限られますが、病院内もしくは病院の近くに、病院職員専用の保育所を設けている病院があります。これを利用するのは、小さい子供がいる看護師、もしくは病院職員だけですが、独身の看護師、もしくはまだ子供はいなくても将来出産を考えている既婚の看護師にも人気のある福利厚生です。

子供がいない看護師にも人気がある理由は、子育てに関して周囲の理解があると考えられるためです。子供が発熱した場合には呼び出されますが、そうした場合でも協力的な雰囲気なので、人間関係も良好な病院が多いと言われています。

また、院内保育に預けている看護師と働くことで、仕事と育児を両立する姿を見ることができるので、そういった面でも人気の高い福利厚生だといえます。

専門資格取得支援、奨学金、研修費用支援

看護師として働き始めて数年が経つと、看護師の資格だけではなく、認定看護師や専門看護師の資格を取りたい、もしくは大学院に行って看護学を研究したい、看護師の仕事に活かせる認定心理士などの資格を取りたいと考えるようになってきます。

そういった看護師の学びに対する支援を行っている病院は多く、院内研修や教育制度を整備している病院もありますし、奨学金制度や資格取得にかかる費用の負担、学校に入学する場合は休職を認め、給与・賞与の6割~8割を支給する病院があるなど、学びに対する支援体制が充実している病院が増えています。

こうした支援制度は、専門知識をさらに増やそうとする中堅以上の看護師に人気のある福利厚生です。

その他人気のある福利厚生

その他、人気のある福利厚生制度としては、契約保養所やレジャー施設、ゴルフコースの割引利用権やフィットネスジムの割引利用権、社員食堂といったものがあります。

契約保養所やゴルフコース、フィットネスジムについては会員価格での利用、レジャー施設やスポーツ観戦や映画のチケットは割引チケットとして支給される病院が多いようです。こういった福利厚生は、看護師の健康増進・ストレス解消の一環として提供されていることが多く、看護師自身が利用する場合はもちろん、家族サービスの一環として人気があります。

また、数は少ないものの、社員食堂が完備している病院もあり、主に独身の看護師に人気があります。

福利厚生の利用条件

こうった福利厚生を利用するためには、定められた条件があります。病院によってはパートや非常勤でも利用を認めているところもありますが、多くの場合、正職員のみ利用を認めているようです。

また、派遣の場合は派遣会社の福利厚生を利用することになるので、そういった点にも注意が必要です。

 

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