高齢化社会を迎え、高齢者人口が増加するとともに、在宅医療を希望する人も増えてくることが予想されます。
そういう背景もあり、将来を考えて訪問看護師に転職を検討している人が増えています。
日本の人口と高齢化の現状について
内閣府が発表した、「2020年版高齢社会白書」によると、2019年10月1日現在の日本の総人口は、1億2,617万人で、2014年10月1日時点と比べると91万人減少しています。
その一方、65歳以上の高齢者人口は、2019年10月1日現在で3,589万人。
前年が3,558万人なので、この1年で29万人増加したことになります。
現在の高齢者の割合は、65歳~74歳の前期高齢者が13.8%、75歳以上の後期高齢者が14.7%です。
いわゆる「団塊の世代」と言われる昭和22年~昭和24年生まれが65歳になっていることがその理由で、その後は、2042年まで増加し続けるとされています。
これからは総人口が減少する一方、高齢者は増えるので、高齢者・高齢化率とも増加していく見込みです。
訪問看護とは
厚生労働省の定義では、訪問介護を下記のように定義しています。
訪問看護は、医師の指示、もしくは医師が出した指示書のもと、病院・診療所、もしくは訪問看護ステーションより、看護師などが患者さんの居宅にうかがって行います。
65歳以上の高齢者で要介護・要支援者の利用者は約28.7万人、それ以外の利用者が約9.9万人(小児等40歳未満の者を含む)とされています。
病院・診療所で訪問看護を行っている施設が全国で1,961ヶ所、訪問看護ステーションが全国で5,770ヶ所(いずれも平成23年5月現在)です。
訪問看護を必要とする理由、訪問看護の受け方
前述のように、現在の日本は総人口が減少していく一方、高齢者人口・高齢者の割合ともに増加していく見込みと言われています。
同じ高齢者でも、多少悪いところがあっても、自分で何でもできる方もいれば、家族や介護士の手を借りなければならず、近くに病院があっても通院が困難な方もいます。
訪問看護の周辺事業に介護がありますが、介護の計画を立てる役割にあるのが、ケアマネージャーです。
ケアマネージャーというのは、介護サービスの利用計画を作成する専門家で、介護サービスだけでなく、訪問看護についても申し出ればサービスを受けることができます。
高齢者人口の増加に伴いニーズが増える職種とは?
訪問看護分野の場合は、病院・診療所の訪問看護部門、もしくは訪問看護ステーションから求人が出されます。
これまではあまり多くありませんでしたが、<24時間対応、もしくは年中無休の訪問看護ステーションも増えているため、ますます訪問看護分野の求人が増えてくることが予想されます。
訪問看護以外で、高齢者人口の増加によりニーズが増える職種としてあげられるのは、有料老人ホームや特別養護老人ホーム、老人保健福祉施設といった老人福祉施設があります。
訪問看護師の経験をしておくと良い理由
訪問看護師と老人保健福祉施設の違いは、高齢者の看護を行うという点では共通しています。
しかし、老人保健福祉施設の場合は入居者のバイタルチェックや健康管理といった面を主に担当するのに対し、訪問看護は健康状態のチェックはもちろんのこと、検査や治療促進、家族に対する療養環境へのアドバイス、在宅リハビリに関する看護、家族や患者への心理的サポート、認知症患者や終末期医療への関与など可能性が広がります。
もちろん、これらのことは先に紹介した老人保健福祉施設やデイサービス事業所、グループホームなどの社会福祉施設、もしくは病棟看護でも経験できます。
訪問看護ステーションの場合は、これらのことを一つの施設で経験できます。
訪問看護師の年収とこれからの可能性について
訪問看護師の給料は、通常の給与に加え、オンコール、自宅待機手当、訪問看護手当などが支給されます。
日勤のみの場合で350万円~400万円くらい、事業所によっては400万円~500万円くらいの年収となるところもあります。
訪問看護ステーションは、その経営母体や経営状態に左右されます。
しかし、総合病院などの訪問看護部門であれば、これまでの経験について考慮した給与体系となっている場合が多いです。
訪問看護ステーションも、24時間対応の体制を築く事業所や年中無休で対応する事業所も増えてくることが予想されるので、その分給与・年収の面では上がっていく可能性があるといえます。