整形外科病棟に入院する患者さんの中でも多い疾患である骨折の一つが、大腿骨頸部骨折ではないでしょうか。
ですが、大腿骨頸部骨折の患者さんに対してどのような事に注意しながら看護を行っていけばいいのか解らないといった方もいらっしゃるかと思います。
では、大腿骨頸部骨折の看護についてお話していこうと思います。
大腿骨頸部骨折ってどんな病気?
大腿骨頸部骨折とは、大腿骨頸部の骨折のことですが、その中でも幾つかの種類に分かれています。
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・骨頭下骨折
・中間部骨折
・転子部骨折
・転子貫通骨折
に分かれています。
上の2種類は内側骨折ですので、人工骨頭適応になっており、下の2種類は外側骨折で骨癒合が良好ですので、間欠的な整復内固定術を行います。
年齢や全身状態によって治療方法は変わってきます。他の疾患があり、手術に体が絶えることができない場合や、合併症のリスクが高い人に関しては、保存的療法を行います。
ですが、手術に耐えれる場合に関しては、先ほど述べましたように人工骨頭を入れたり、整復内固定術を行ったりします。
大腿骨頸部骨折の患者さんにはどんな看護を行えばいい?
では、大腿骨頸部骨折の患者さんに対して、どのような看護を行えば良いのでしょうか。
まず、手術を行うか行わないかに関わらず、大腿骨頸部骨折は非常に強い痛みを感じます。臥床してるだけでは痛みを感じなくても、少しでも骨折している足を動かそうとでもすれば、激しい痛みを感じます。
ですので、日常生活動作も自分で行うことが難しくなります。食事のセッティング、排泄介助、保清、体位交換をおこないます。
また、痛みが強い場合は医師の指示のもと、鎮痛剤を使用します。手術を行わない患者さんに関しては、骨折が治癒していなくても施設や自宅へ帰る方が多くいらっしゃいます。
次に、手術を行う場合の看護です。手術を行う前にはオペだしの準備を行わなければいけません。
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・出棟前にバイタル測定をはじめとする全身状態の観察
・骨折部位の腫脹や疼痛の有無
・指示された点滴の施行(ルート確保する腕や留置針の太さも確認)
・抗凝固剤などを内服していないか
・絶飲食できているかの確認
・同意書も用意されているか確認
・手術着に更衣する
・家族や本人に、手術終了予定時間を伝える
といった内容は最低限確認してください。そして、手術時間に手術室へ送り出してください。
手術から帰ってきたあとが、1番気を引き締めて看護しなければいけません。手術終了時間より前に、ベットを準備しておかなければいけません。シーツ交換を行い酸素ボンベや支柱台をセットします。
手術室から帰ってきたら行うことを順番にあげていきます。
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1.バイタル測定をはじめとする全身状態の観察。(この時、術創部の確認と覚醒状況を確認します)全身状態の観察は、はじめは15分そして30分、その後は1時間ごとに観察をおこないます。
2.点滴の残量の確認し、その後指示された点滴量で流量の確認をします。
3.尿量の確認。バルーンバック内に尿の流出があるのか、IN・OUTのバランスがとれているのかを観察します。
4.異常があればすぐに医師に報告します。手術後は急変するリスクがあります。麻酔からの覚醒が悪かったり、創部から出血が止まらなかったり、静脈血栓症になったりする可能性があります。ですので、早期に異常を発見し、医師の指示に従って処置することが必要です。
また、人によっては手術後に、せん妄になる可能性があります。場合によっては、薬でコントロールしなければいけませんので、医師に報告してください。
最近では、手術後すぐにリハビリを行うようになってきました。そうすることによって、早期回復を見込むことができるからです。
また、患者さん自身いつまでも排泄ケアなどを看護師に頼むのは気がひけるという方もいらっしゃいます。
そのような方には、自分で行いやすい方法を指導して1日も早く自立できるように援助をするのも看護師としての役割です。もしも、方法が解らない場合は、理学療法士もしくは作業療法士に相談するのも良いでしょう。
大腿骨頸部骨折の患者さん多い認知症の方にはどう援助すればいい?
大腿骨頸部骨折の患者さんの中には認知症の方も多くいらっしゃいます。「じっとして」「〇〇はしたらだめ」なんて事は、認知症の方には通用しません。
ですが、治療を進めていく中で、認知症を理解し患者さんに合わせた看護を行っていく事が大切です。たとえば、言っても忘れるのであれば、ベットサイドに最低限の禁止事項を書くとか、良肢位を保つためのポジショニングの工夫を行うなどです。病棟勤務の看護師の場合、認知症という病気を理解せずに一方的な看護を行い、そして患者を怒らせるとうことがあります。
ですので、大腿骨頸部骨折の病気についてだけではなく、認知症についても理解を深めることが必要です。