看護師が働く場所は実にさまざまで、自衛隊に入って看護の仕事をするという方法もその一つです。自衛隊に入ると、自衛隊中央病院や全国に散らばる自衛隊地区病院をはじめ、16ある自衛隊職種の一つ衛生隊に配属されて各地で患者の治療や後送、防疫、衛生業務を行うこともあります。地区病院はもともと自衛隊職員やその家族などのためのものでしたが現在は一般患者も受け入れ対象となっており、救急患者を受け入れていないところが多いので、比較的落ち着いて業務をすることができるでしょう。しかし、難病の患者のケアをすることは少なく特に高度医療を扱っているわけでもないので、看護師としてのスキルアップを望んでいる人にはやや不向きだといえるかもしれません。

自衛隊看護師は、自衛隊という国防を担う人々を医療面でサポートするのが基本的な仕事ですが、自衛隊病院での仕事は夜勤も含めて他の病院と同じで、その他に自衛隊に関するさまざまな知識や技能をマスターするために教育も受けなければなりません。また、もちろん自らにも国防という重い使命が課せられているので、それに応じたトレーニングをしっかりとこなしていかなければなりません。例えば、大規模な災害の他、紛争やテロなどの状況になった場合のために、ほふく前進、射撃訓練、野営生活など、非常に過酷な環境でも職務をまっとうできるようなハードなトレーニングを定期的に積む必要があります。これは、かなりの覚悟がなければ務まるものではないといえるのではないでしょうか。

そんな中、自衛隊看護師のメリットとして、職場の人間関係に悩むことが少ないという点が挙げられます。看護師といえばとかく複雑な人間関係が原因で転職を繰り返す人が大変多くいますが、これは現場にいるのがほとんど女性であることが理由の一つです。その点、自衛隊では男性がほとんどなので、人間関係に悩むこともない上、結婚相手も見つけやすいといえるのです。