一生懸命勉強に励んでやっと取得できるのが看護師免許ですが、前科がついた場合には免許がはく奪されてしまうことがあります。看護師免許がはく奪されるのは、保健師助産師看護師法第9条や第14条の欠格事由に該当した場合です。もしもこれが免許取得前であれば、免許は与えられないということになります。

保健師助産師看護師法第9条・第14条には、犯罪・不正行為、心身の障害により業務を適正に行うことができない場合、麻薬や大麻又はあへんなど薬物に依存している場合、医療従事者としての品位を損するような行いをした場合に免許がはく奪されることが明記されています。車を運転する人であれば、犯罪・不正行為に関して一番身近なのは交通事故ではないでしょうか。故意に事故を起こす人はいませんが、万が一人身事故を起こしてしまった場合には裁判で刑事処分が科せられ、免許の欠格事由に該当することになります。(人身事故とは、相手を死傷させてしまった場合をいいます。)

欠格事由に該当するかどうか紛らわしいものもあります。罰金刑が課せられるといえば交通違反で、これも車を運転する人であれば非常に身近なことといえそうです。しかし、交通違反には段階があり、駐車違反や走行中の携帯電話の使用、通行禁止違反など、いわゆる青切符といわれるものであれば前科がつくことはなく免許もはく奪されません。前述のように、交通事故を起こして死傷させた場合の他、運転免許停止や運転免許取り消しとなるような事態に至った場合には赤切符が切られることになり、欠格事由に該当して看護師免許もはく奪されてしまうのです。

看護師免許はく奪というのは処分の中でも最も重いものですが、実際にはく奪された看護師は、1年間に数名程度といわれています。人身事故を起こして執行猶予付きの懲役となった場合でも、業務停止期間はあるものの免許はく奪には至らない場合もあります。しかし、被害者への謝罪が十分ではない、反省の色がまったくないといった場合には医療従事者としての品位を損するような行いとも見なされ、免許はく奪に至ることもあります。