クーリングとは何かとその目的

発熱時に体温を下げるために、後頭部や腋下、頸部、鼠径部など大血管の近くを冷やすことをいいます。

クーリングの種類には3点クーリング(頭、腋下、鼠径部)5点クーリング(頭、両腋下、両鼠径部)などがあります。

ただし、発熱時にクーリングをしたからといって、全身状態を好転させるというエビデンスはありません。

あくまでも患者の安楽や発熱、うつ熱時の解熱(発熱時は一時的)を目的におこなうものです。

発熱している原因や発熱時期によってはクーリングを避けた方がよい場合があります。

高体温の原因、発熱とうつ熱とは

    • 発熱

感染や外傷、脳梗塞などの病的要因、ストレスなどから命を守るために、自ら司視下部にある体温調節機能のセットポイントを上げて熱を発している状態。

    • うつ熱

高温などの外部環境によって、体内に熱がこもって体温が上がっている状態。

発熱時の体温上昇の経過

①発熱時
病原菌や腫瘍細胞から体を守るために、免疫機能を高め攻撃因子の力を弱める目的で、体温調節機能のセットポイント(体の目標体温)を上昇させます。

セットポイントが上がると、血管は収縮し体温の発散を防ぎ、筋肉を震わせて熱を産生させます。

②極期
攻撃因子が取り除かれるまで発熱は続きます。

③解熱期
原因が取り除かれるとセットポイントが通常の37度に戻り、血管が拡張し上がった熱を発散させ、発汗、解熱させていきます。

クーリングをおこなってよい時

①うつ熱時
ただちに環境調節とクーリングをおこない、こもった熱を発散させることが必要です。
②発熱時
◎発熱期;自ら体温を上昇させて免疫機能を高める発熱期はクーリングはおこなわなわず、安静と保温や観察に努めることが大切です。
◎極期;保温は中止して、患者の安楽を見ながらクーリングを始める。◎解熱時;患者の安楽を見ながらクーリングを続けます。発汗があるので脱水予防や栄養補給にも努めることが大切です。

③発熱時の種類によるクーリングの是非
◎感染時:クーリングをおこなう時期を見極めておこなう。

◎病的要因時:クーリングをおこなう時期を見極めておこなう。ただし、脳出血や脳梗塞などによって視司下部の体温調節機能が障害され高熱が出る中枢性過高熱の場合は、解熱剤が効かないため発熱期でもクーリングをおこないます。

◎術後などの侵襲要因時:クーリングをおこなう時期を見極めておこなう。

◎心理的要因時:クーリングは効果的。

クーリングの方法

準備物:保冷剤やアイスノン、氷のう、タオル

方法
①保冷剤やアイスノン、氷のうは直接当てると冷たいのでタオルを巻いておく。
②腋下や鼠径部など大血管が通る場所や頭に保冷剤を当て冷やす。
高熱の場合は2点クーリングや3点クーリングをおこない、37度~38度までのときは1点クーリングをおこなう。
③患者に冷たすぎいか苦痛はないかを確認する。④適宜、体温や血圧などバイタルサインを測り、体調の変化と体温低下が起こりすぎていないかを確認する。

④適宜、保冷剤やアイスノンの状態を確認し、溶けていたら交換する。

クーリングの方法とケア