目的
患部を固定し、安静、保持、変形予防、矯正のために行う。
準備物品
・清拭の準備
・ストッキネット
・綿の包帯
・創部がある場合には、創処置の物品
・着脱しやすい衣服
・水を入れたバケツ
・ギプス包帯
・ディスポーサブルの手袋
手順
1、ギプス固定を行う前に、患者さんにギプス固定を行う必要性を説明する。
2、ギプスを行う前に、清拭を行う。患部は痛みを伴っているので、痛みを与えないよう気をつけながら行う。その際に、着脱しやすい衣服に着替えておいてください。
3、患部の状態を観察する。
・爪の色
・皮膚の色
・患部の暖かさ
・しびれの有無
・感覚鈍磨の有無
・運動障害の有無
・浮腫の有無
といった内容です。
ギプスを巻くと見えなくなるのになぜこのような項目が必要なのか?と思うかもしれませんが、巻く前に患部の状態を把握しておくことで、ギプスを巻いた後の異常の早期発見に努めることができるからです。
4、患部をストッキねネットで覆っておいてください。この時、ストッキネットは長めにしておき、ギプスを巻く際に折り返して調整します。そして、その上を綿包帯で巻いいきます。このとき、綿包帯は末梢から中枢に向かって巻き、しわやたるみがないように巻いていきます。
5、ギプスを巻く際には患肢を挙上する。
6、手袋を装着し、バケツの中に溜めた水の中にギプス包帯を5?10秒ひたす。浸したて、柔らかくなったら医師に渡す。
7、医師がギプスを巻き終えたら、層と層の間がしっかり接着するようにこすってください。その後しっかり固まるまで、ぶつけたりしないように注意してください。
8、ギプスが巻き終わったら終わりではありません。ギプス障害がで出ていないか観察してください。
・神経障害では、疼痛、しびれ、知覚鈍麻の有無、ギプスを装着した部位の末梢の運動障害の有無などです。
・皮膚障害では、水泡や褥瘡、壊死などが起こる可能性があります。疼痛、出血や浸出液出ていないか、異臭がしないか観察してください。
体幹をギプス固定した際には、循環障害や急性胃拡張症といった障害を起こす可能性があります。観察項目としては、嘔気・嘔吐、腹部不快や疼痛などの症状がないか確認してください。
注意事項
・ギプスを巻くことで、日常生活にも支障が出てきます。それは、ギプスを巻くまでには日常生活動作の全てを自分で行うことができていたのに、ギプスを巻いた同時に日常生活動作が低下し援助をうけなければ、生活できなくなります。そういった点も本人に了承していただき、無理はしないように心がけておいてもらう必要があります。
・ギプスをまけば、保持、変形予防、矯正ができるわけだから、他にトラブルが起きるわけないと思われがちですが、ギプスを巻いたあとにも、観察をきちんと行っておく必要があります。その理由は、ギプスを巻いたことで神経障害や循環障害、褥瘡、創部の感染、関節拘縮などを起こすリスクがあるからです。ギプスをを巻いたとの障害を発見するためには、観察を行っておくことが重要です。バイタル測定を行う際など患者さんのそばに行くときには、障害が出ていないか観察してください。
・ギプスには、サイズがありますので準備する前に医師にサイズを確認してから準備するようにしてください。ギプスは高価なものなので無駄にしないようにしてください。
・ギプスを巻いたときには違和感がなかったけど、しばらくしてから違和感が生じる場合もあります。そのことを患者さんに伝え、異常があれば我慢せずに、すぐに報告してもらうように説明してください。
・寒い時期にギプスを巻く際に、水だと冷たいしお湯の方がいいと思いがちですが、お湯だとすぐにギプスが固まってしまうので、絶対にお湯は使用してはいけません。
・ギプス固定は大人だけではなく子供にも行います。子供でも、自分で痛みや不快感などを訴えることができればいいですが、乳児や幼児では訴えることができません。ですので、観察をしっかり行っておく必要があります。また、親にも十分に説明し、ギプス固定についての理解を深めていただく必要があります。
・ギプスを巻く場所に創部がある場合、創部の部位だけギプスカットを行います。ギプスカットを行う際にはギプスカッターを使用します。このギプスカッターは音が大きい為、恐怖心を抱く方が多いため、その恐怖心を緩和させる必要があります。ギプスカッターは、振動によって硬いものをきっていきます。そのため、皮膚は切れません。そのことを説明してからギプスカットを行うようにしてください。そしてカットできたら、その中にあるストッキネットもカットします。ストッキネットはハサミで切るので、皮膚を傷つけないように注意してカットしてください。すべて切り終わったら創部の処置を行うようにしてください。