精神科と聞くと、他の診療科目に比べて少し特殊なイメージを抱くという人が多いのではないでしょうか。確かに、すぐに命に関わるような重篤な患者さんをケアするわけでもありませんし、医師もそのような医療行為を必要としていません。かといって決して楽なわけではありませんので、他よりは楽そうに見えるという理由で安易に精神科に転職するのはやめておいた方が良さそうです。

精神科で働く看護師の仕事は、他の診療科目と違って医師の指示の下で行うことは非常に少なくなります。むしろ、看護が主体となって患者さんの日常生活をサポートすることの方が多いといえます。また、精神科に入院してくる患者さんは、長い場合だと数年にわたって入院することも少なくないので、コミュニケーションの取り方も他の科目で働く場合とは少し違ってくるでしょう。患者さんの中には、精神疾患を抱えていることからコミュニケーションを取ること自体が困難な人も多く、看護師の対応一つによっては心を閉ざしてしまうことも考えられます。精神科では業務を素早くこなそうとするのは逆効果になることが多いです。焦る必要はまったくなく、常に相手のペースに合わせて待てることが必要なスキルといえます。さらに、患者さんの症状の変化も人によって大きく異なることが特徴で、1人ひとりとじっくり向き合っていくことが求められます。その人がどんな看護を必要としているのか、患者さんの個性も考えながら実践していくことがとても大切になってきます。これらのサポートの仕方が自分には合っているという人が精神科には向いているといえます。

もしもずっと精神科で働いていこうという場合には、外来や病棟に所属しないで働くことができる日本看護協会の精神看護専門看護師の資格取得を目指してみるのも良いでしょう。また、日本精神科看護協会の精神科認定看護師などを取得することも、その後のキャリアアップにつながっていくはずです。